アフターピル についてさらに解説します
アフターピル についての研究は1960年代から始まり、1974年に初めてYuzpeが経口避妊薬を報告しました。
開発者の名前からヤッペ法と呼ばれます。
ヤッペ法は卵胞ホルモン・黄体ホルモンの配合薬(ドオルトン®またはプラバノール®2錠)を12時間ごとに内服する方法です。
ヤッペ法では妊娠を75%減少させ、妊娠率は1.5%-3.2%程度でした。
副作用の吐き気が50%、嘔吐18%と高率な副作用が欠点でしたが、安価で、服薬法が簡単であり避妊法として広まりました。
その後、1990年代にWHO主導による研究で、合成黄体ホルモン単独法(レボノルゲストレル(LNG)法=現在のノルレボ®錠による避妊法)の有効性および安全性が報告されました。
レボノルゲストレル法の避妊効果が高く、副作用率がヤッペ法よりも低いことから、現在ではヤッペ法は推奨されていません。
レボノルゲストレル法が日本での緊急避妊の主流となっております。
(嘔気 ヤッペ法 50.5% vs LNG法 23.1%、嘔吐 ヤッペ法 18.8% vs LNG法 5.6%)
当初はレボノルゲストレル0.75mg 1錠を内服し、12時間後に再度1錠内服する方法でした。
その後、Lancet誌に一度に2錠飲む方法でも有効性、安全性に差がないという論文が発表されました。
1錠にレボノルゲストレル1.5mgを含有する製品(ノルレボ®、レボノルゲストレル「F」®、PlanB One-Step)が開発され現在に至っています。
1999年に米国FDAがレボノルゲストレル法を承認し、欧米に遅れること10年、2011年に日本で緊急避妊薬ノルレボ®錠が承認されました。
日本でのノルレボ®市販後調査でも妊娠率は0.70%、妊娠阻止率は90.8%と高い効果が得られています。
副作用発症率は7.96%でした。主な副作用として、
嘔気 2.25%
頭痛 1.38%
倦怠感 1.38%
不正子宮出血 1.21% が報告されています。
嘔吐の副作用は0.17%と低く、厚労省の指針からも、避妊薬内服後の、無症状時に事前の制吐剤の使用するのは勧められないとのことになっております。
もちろん、内服後に嘔気などがあった場合は制吐剤を使用してください。
レボノルゲストレル法は避妊効果が高い方法として現在の日本では主流ですが、
・性交後72時間以上経過すると効果が減弱する
・高度肥満(BMI 30以上)の方は効果が減弱する可能性がある
などの欠点があります。この二つの課題を解決したエラ®・エラワン®が現在欧米では主流になっています。
ウリプリスタル酢酸エステル30mg内服による避妊法です。
2006年にアメリカ ペンシルベニア州のピッツバーグ大学医療センターから避妊効果が報告されました。
その後、イギリス エディンバラ大学より、大規模な集団での避妊効果および120時間以内の避妊効果が報告されています。
この結果から、2010年に米国、英国でエラ®、エラワン®が承認されました。
(商標権の問題からEU圏ではエラワン®、米国ではエラ®の名前で販売されています。)
レボノルゲストレル法と同様に排卵の抑制が主な作用機序とされていますが、
- ・レボノルゲストレル法よりも避妊効果が高い
- (妊娠率 エラワン® 1.4% vs レボノルゲストレル 2.1%)
- ・120時間以内でも避妊効果が維持される
- (レボノルゲストレルでは72時間を超えると効果が減弱する)
- ・高度肥満でも避妊効果が維持される
などの理由から海外ではこちらが主流となっております。
副作用は頭痛、嘔気、倦怠感などですが、レボノルゲストレル法と同様です。
WHO必須医薬品の一つにも数えられ、日本でも早期に承認されるべき薬剤ではありますが、現時点で承認の目途は立っておりません。
当院では医師専用の輸入代行会社を通じて、メーカー正規品を取り扱っております。
ご希望の方は当院LINEからご相談ください。
アフターピルの値段についてはトップページをご確認ください。
また、よくある質問もご覧ください。
参考文献:
臨婦産・61巻4号・2007年4月
臨婦産・68 巻 9 号・2014 年 9 月
臨婦産・73 巻 9 号・2019 年 9 月
緊急避妊法の適正使用に関する指針 (平成 28 年度改訂版)
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
あすか製薬市販後調査