アフターピル とは?

緊急避妊薬、いわゆる アフターピル とは、避妊しないで性行為があった場合や、コンドームが破けるなどの避妊失敗が起こった場合に、妊娠を防止する方法です。

性交渉後、72時間以内に服用することで高い避妊率が得られますが、性行為後時間が経つに連れて、避妊失敗の可能性が高くなり、速やかな対応が大切です。

アフターピルはどうして効くのか

レボノルゲストレル 1.5mg(ノルレボ錠)による作用機序は主に排卵の抑制、または遅延によるものと考えられています。(1)

アフターピルにより、排卵前の黄体ホルモン放出が抑制され、5~7日ほど排卵が遅れます。その間に女性器に侵入した精子が受精能を失い、避妊が成功します。

参考文献
(1) Contraception誌 「Croxatto HB et al. Pituitary-ovarian function following the standard levonorgestrel emergency contraceptive dose or a single 0.75-mg dose given on the days preceding ovulation.」より 

アフターピル の効果

性交後の72時間以内のアフターピルにより、妊娠を84%程度予防できます。(2) また、24時間以内のアフターピル内服で95%程度予防するとされています。実際に24時間以内にアフターピルを内服した方の妊娠率は0.4%(2人/450人)でした。(3)

アフターピル内服により、望まない妊娠を予防できます。しかしながら、72時間を超えると予防確率が63%と大きく低下しますので、速やかな内服が必要です。

参考文献
(2) Lancet誌「von Hertzen H, et al. Low-dose mifepristone and two regimens of levonorgestrel for emergency contraception: a WHO multicentre randomised trial.」より

(3) Lancet誌「Task Force on Postovulatory Methods of Fertility Regulation. Randomised controlled trial of levonorgestrel versus the Yuzpe regimen of combined oral contraceptives for emergency contraception. 」より

アフターピル と 副作用

アフターピルの副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、倦怠感、胸の張り、性器出血などが報告されています。どれも症状として軽度で短期間なものがほとんどです。

頻度の高い副作用としては、吐き気(14%)、倦怠感(14%)、少量の性器出血(30%)などがあります。(4)

実際に吐いてしまう方は1%程度と比較的低いです。ただ、アフターピル内服後2時間以内に嘔吐してしまうと、お薬が十分に吸収されません。避妊効果を確かなものにするにはもう一度アフターピルを内服する必要があります。

参考文献
(4)Lancet誌「Low dose mifepristone and two regimens of levonorgestrel for emergency contraception: a WHO multicentre randomised trial」より

アフターピル服用の注意事項

アフターピル(緊急避妊薬)は自由診療になります。

お薬が届いたら、すぐに内服してください。

性交後120時間以上経過した後のアフターピルの有効性は報告されていません。

アフターピル が使用できない人

・以前にアフターピルでアレルギー症状がでた方
・重篤な肝障害がある方
・妊婦

また、併用薬に関する注意がありますので、常用薬がある方は医師に相談してください。

当院のアフターピル診療について

当院のアフターピルは安心安全の国産薬や、72時間を超えても効果が認められる海外製120時間用アフターピルなど各種取り揃えております。

アフターピルは早ければ早いほど避妊効果が高いので、東京都バイク便など配送方法を工夫しています。

緊急性を要するお薬ですので、なるべく早く手に入る方法をお選びください

当院の診察室より

「Madonna」について

Biopharm Chemicals社が生産しているアフターピル(レボノルゲストレル錠)になります。

1錠にレボノルゲストレルとして0.75mg含有しています。

【内服方法】1回に2錠(1.5mg)を水やぬるま湯で内服。

 

2002年にLancet誌に投稿された論文では、12時間ごとにレボノルゲストレル0.75mgを2回内服する方法と、レボノルゲストレル1.5mgを1回内服する方法では、避妊効果、副作用率ともに差はありませんでした。

一方で、2回法では2回目を飲み忘れてしまうなどの問題もあり、現在はレボノルゲストレル1.5mg1回内服が標準治療となっております。

個人輸入代行のホームページサイトで内服方法を誤って記載している例が散見されます。

当院はドクターズファーマシー等の輸入代行会社を通じてメーカー正規品を取り扱っておりますので、安心してご利用ください。

「Madonna」は国内未承認薬となります。同一成分の国内承認薬として、「ノルレボ」「レボノルゲストレル錠「F」」が販売されています。

海外輸入薬については、厚労省ホームページも参考ください。

https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/healthhazard/

参考文献
von Hertzen H, Piaggio G, Ding J, Chen J, Song Si, Bartfai G, et al. Low-dose mifepristone and two regimens of levonorgestrel for emergency contraception: a WHO multicentre randomised trial. Lancet 2002; 360: 1803-1810

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(02)11767-3/fulltext

「Ella」「Ella one」について

EU他、全世界50か国以上で使用されており、米国FDAでも2010年に認可されたアフターピルです。

1錠にウリプリスタル酢酸エステルを30mg含有しており、120時間以内の内服による避妊効果が認められています。

早ければ早いほど効果は高まりますが、それでも72~120時間以内に内服した人の98%が妊娠しなかったとの報告があります。

日本ではまだ未承認ですが、米国・EUでは主流で使われており、WHOの必須医薬品リストにも掲載されています。

主な副作用は嘔気、頭痛、腹痛などですが、症状としては軽度で短期間であることがほとんどです。

「エラ」または「エラワン」の名前で流通しています。販売されている国によって商標権の関係で、「エラ」もしくは「エラワン」の薬品名が記載されていますが、中身はどちらも同一のものです。

遠方の方や、性交渉から時間が経ってしまった方はこちらをお勧めしています。

参考文献
WHO世界必須医薬リスト

もっとアフターピルについて知りたい方は「アフターピルについてもっと詳しく説明します」もご覧ください